中国残留孤児訴訟 全面敗訴

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http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070131k0000m040073000c.html

中国残留孤児訴訟:原告側が全面敗訴 東京地裁

永住帰国して首都圏に住む中国残留孤児40人が「早期帰国の実現や、帰国後に自立支援する義務を怠った」として、国に13億2000万円(1人3300万円)の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は30日、請求を棄却した。加藤謙一裁判長は「国に早期帰国実現や自立支援の法的義務があるとは言えない」と孤児側の主張を全面的に退けた。全国1高裁・14地裁で係争中の集団訴訟で3件目の判決。全面敗訴は2件目だが、訴えの中心である国の法的義務自体を否定し、孤児にとって最も厳しい判決となった。孤児側は控訴する。

 原告は75〜00年に帰国した60〜74歳の孤児。全国の帰国孤児の約8割に当たる2210人が集団訴訟を起こしており、その半数近い計1092人の原告を抱える東京地裁の判断は、各地の訴訟に影響を与えそうだ。昨年12月の神戸地裁判決だけが、国の賠償責任を認めている。

 訴訟で孤児側は、満州中国東北部)への移民や旧日本軍が移民を保護しなかったことなどの国策の結果、孤児になったと指摘し「国は条理(社会通念)上、早期帰国させる義務があった」と主張した。だが、判決は「国策は本来、司法審査の対象外。国家賠償法施行前の戦前の行為は賠償責任がない」と指摘。孤児の被害を国民が等しく受忍すべき「戦争損害」としたうえで「法律上の根拠がないのに、条理を理由に早期帰国実現義務を認めるのは相当でない」と結論付けた。

 また、帰国を巡る義務がない以上、法的には帰国後の自立支援義務もないと判断。国の支援策への不満は理解できるとしつつ「生活保護を受給できることを考えると、違法・不当とまでは言えない」と述べた。

 原告らは訴訟外で、老後を保障する給付金制度創設などを求める活動もしており、与野党の国会議員が対応を検討している。

 ▽原告団弁護団の話 国の義務そのものを認めない極めて不当な判決。人権の最後のとりでとなるべき司法が職責を放棄したと言わざるを得ず、強く抗議する。

 ▽厚生労働省中国孤児等対策室の話 国側の主張が認められたと考える。中国残留邦人(孤児)に対しては今後とも、きめ細かな支援に努めたい。

 ◇中国残留孤児 戦前に旧満州中国東北部)へ移民し、終戦直前の旧ソ連参戦の混乱などで親と離別、中国に残された当時おおむね13歳未満の日本人。約2500人が永住帰国したが、今も中国に約300人いるという。中高年での帰国で日本語習得や就労が難しく、特例支給の年金は月約2万円で7割近くが生活保護を受給。02年12月の東京地裁を皮切りに、15地裁で国家賠償を求める集団訴訟を起こした。


http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070131k0000m040113000c.html

中国残留孤児訴訟:解説 被害救済に背向けた東京地裁判決      中国残留孤児訴訟の東京地裁判決は、早期帰国や自立支援義務の法的な根拠にこだわり、実際に損害が生じていることを一部認めながら訴えを全面的に退けた。集団訴訟の先行判決と比べ、被害救済に背を向けた「門前払いの判決」と言える。

 東京地裁は、孤児側が主張の柱にすえた「早期帰国実現義務」について▽戦前の行為に国は賠償義務はない▽国策は司法審査の対象とはならない▽明確な法律上の根拠がない−−と一蹴(いっしゅう)した。

 確かに、この義務を定めた法律はない。だが、一般人の常識ともいえる「条理(社会通念)」上の義務を生じるとした孤児側の主張に対し、先行2判決は応えていた。国に賠償を命じた神戸地裁判決(昨年12月)は、身元未判明の孤児の帰国を制限していた国の政策を「違法な行政行為」と断じ、敗訴を言い渡した大阪地裁判決(05年7月)ですら、帰国を巡る義務の存在は認めていた。

 今回の判決は日中国交回復(72年)時点で「終戦から26年以上経過し、孤児らは既に日本人として人間らしく成長する権利を侵害されていた」と認定した。ところが、この損害をいわば逆手にとって「早期帰国でも損害発生という結果を回避できなかった」と論理付けており、違和感はぬぐえない。

 孤児らは訴訟外で、老後の生活保障などを求めて国会議員らに働きかけている。そもそも2度にわたる国会請願が不採択とされ、やむを得ず起こしたのが今回の集団訴訟だ。司法が被害救済を認めない以上、今度こそ立法府が救いの手を差し伸べるべきだ。


私は実は、一昨年に中国帰国者を支援するNPO法人の立ち上げに関わったことがあり、この問題に関心を持っている。

この判決を見て思ったことは「国の責任逃れ」ということである。

国はこれまで、中国帰国者に対しての施策は無いに等しいと思われる。

中国帰国者は高齢化問題に直面している。

生活保護も満足に受けられない。年金も額は少ない。

こういったケースがかなり多い。

その中でも、私の地元の長野県では田中知事時代に「愛心政策(?)」といった、中国帰国者に毎月3万円を援助する施策を中心とした施策を行ない、高い評価を得ている。

このような施策を国レベルでも早期に実施すべきである。高齢化が進んでいる中国残留孤児のために。