リニア中央新幹線をめぐる動き


リニア中央新幹線セミナー 会場いっぱい300人が関心 (日本列島ふるさと新聞・南信州・24日)

飯田下伊那地方の民間80団体でつくるリニア飯田駅設置推進協議会(会長=宮島八束飯田商工会議所会頭)と南信州新聞社は21日、飯田市上郷別府の飯伊地場産業センターで「夢のリニア中央新幹線セミナーin南信州」を開いた。飯田駅誘致に向けて高まる飯伊のリニア熱を象徴するかのように、会場いっぱい300人余の市民が参加。講演会やパネル討論を通じ、飯田駅の誘致を見据えたまちづくりの針路を探った。

 第1部は中央新幹線沿線学者会議会員の伊藤達雄・名古屋産業大学名誉学長が「新しい国土の姿とリニア中央新幹線の役割」と題して講演。JR東海が掲げるリニア計画の概要について同社役員の発言や専門家の分析を紹介しながら解説し、新しい国土形成や高度情報化への対応、環境への配慮、東海道新幹線の二重系化の重要性など、さまざまな観点から「リニア中央新幹線の早期実現が必要だ」と指摘した。

 自身が研究している人口1000万人以上のメガシティ時代の到来予測にも言及。「名古屋を中心に考えると、リニアにより東京は豊田や豊橋より近くなり、ここ飯田も瀬戸市より近くなる。メガシティ実現のためにも超高速鉄道を」と語った。

 2部のパネル討論では、自民党リニア特命委員会事務局次長の宮下一郎衆院議員と宮島同協議会会長、谷口則之同会長代理(飯田市鼎商工会会長)、熊谷弘飯田青年会議所理事長が「リニア駅を見据えたまちづくり」をテーマに意見交換した。

 駅誘致については「飯田駅ができるものと確信している」(宮島会長)とする声を続けて、ルート問題の行方に注目する住民に理解を求める一方、「駅誘致にはメリットとデメリットがある」(谷口会長代理)とも主張。駅を最大限に活用するためには功罪の見極めが必要だとし、「行政、経済界、住民が一体となって戦略的に地域づくりの指針をつくりあげるべき」と言葉を重ねた。

 「飯田らしさ、南信州らしさを守り育てることも大切」(宮下議員)とする認識も共通。駅誘致のメリットとしては、自然豊かな環境を活かした研究部門の誘致など、頭脳の集積に期待を寄せる声が続いた。

 コーディネーターの伊藤名誉学長は「この地域にとって、駅の位置づけや活用策を研究することが喫緊の課題だ。セミナーがパート2、パート3と続くなかで、しっかり議論が深められていくことに期待する」と結んだ。

JR東海の松本社長が名古屋市内で講演 (日本列島ふるさと新聞・南信州・18日)

JR東海松本正之社長は16日、名古屋市内で講演し、全額自己負担で建設する予定のリニア中央新幹線について、直線ルートにより2025年の開業を目指したい考えをあらためて強調した。脱鉄輪・超電導への脱皮の効果を「新幹線の敷設以上だ」と指摘。残る4項目の調査について回答を可能な限り早く行い、着工を急ぎたい考えを示した。

 最初にリニアの取り組みと結びつけるかのように、狭軌から広軌へと飛躍し、国土の大動脈となった東海道新幹線の敷設をめぐる経過を紹介した松本社長は、「生みの苦しみがあったが、日本の成功が世界の高速鉄道時代の扉を開いた」と強調。モーターを改良した新型車両の投入や過密ダイヤの編成を経て輸送力増強とスピードアップを図った2003年の「第2の開業」についても言及し、「投資が100%に達した時に、効果が発揮される。大切なのは我慢しながらいかに投資を継続できるかだ」と指摘した。

 首都圏―中京圏での2025年開業を目指すリニア中央新幹線については、脱鉄輪・超電導への脱皮の意義を強調。2005年に実用化のめどがたった一方、各地の整備新幹線を優先させる国の投資の見通しが立たないとし、「全額自己負担で建設する方針を固めるに至った」と話した。

 ルートは、首都圏―中京圏を直線的に結んだ範囲図を示し、「地形地質調査では南アルプスについても、適切な施工方法により建設することが可能だとのことだった。東京と名古屋を直線的に結ぶ約290キロの(想定額)5・1兆円ならギリギリでやれるだろうと判断した」と語った。

 全国新幹線鉄道整備法にのっとって建設する意向もあらためて伝え「初めて民間が行う事業だが、国土交通省に照会したところ、法律上、問題はないとのことだった」。懸念される電磁波や騒音問題については「山梨実験線では、電磁波の影響は国際基準の100分の1(沿線)となっている」、「騒音は車体の断面積が小さいため、防音設備を設置しやすい」などと語った。

 また、延伸工事中の山梨実験線については、今後、新たに14両編成の新型車両を投入するとし、大深度地下での運用も見据えた実験も行う意向を明かした。

 昨年末、国土交通省から残る4項目の調査の指示を受けたものの、着工までには調査の実施、営業主体・建設主体の指名の受諾、整備計画の決定、建設指示の受諾、工事実施計画の申請・認可を完了しなければならず、開業を目指す2025年から逆算すると、それほど時間は残っていない。

 松本社長は「手続きをできる限り早くすませ、物理的なことにつなげたい」と話した。

 飯田下伊那地方からは宮島八束会頭ら飯田商工会議所、リニア飯田駅設置推進協議会の幹部らが出席した。講演前、松本社長やリニア中央エクスプレス建設促進経済団体連合会長の岡田邦彦名古屋商工会議所会頭と談笑する機会があった宮島会頭は「松本社長から力強い言葉を頂いた。熱い思いを聞き、飯伊も全力で応援したいという気持ちを強くした。飯田駅の実現に向け、全力で取り組みたい」と話していた。

リニアのルートや中間駅 意見交換は5月以降か(信濃毎日新聞・27日)

自民党のリニア特命委員会(堀内光雄委員長)は25日、JR東海松本正之社長に出席を求め、リニア中央新幹線計画をめぐる沿線都県との調整方針などを聞いた。松本社長は「建設費と供給輸送力の算出にもう少し時間がかかる。これができれば、具体的なデータを示して、駅、ルートについて意見交換したい」と述べた。

 同社は2009年度の早い時期にルートや中間駅の本格的な調整に入りたい考えを示しているが、意見交換に入るのは5月以降となる見通しだ。

 委員会は冒頭以外非公開。JR東海が現在進めている山梨実験線の延伸に加えて、政府の追加経済対策としてさらに延伸させることが可能かどうか、近く国土交通省、同社と協議することを決めた。堀内委員長は会議後、「東京に向けての延伸は可能性がある」と話した。

 松本社長は、実験線の追加延伸には、環境影響調査(アセスメント)の期間などを考慮すると「着工までに5、6年はかかる」と指摘し、経済対策としての即効性には疑問を示した。


実務者レベルで話を進めるのも必要ですが、現状では住民意識はまだまだ上がっていないと思います。


まずは、住民のリニアに対する意識を向上させ、合意形成を築いていくことが必要ではないでしょうか。