小沢征爾さん、食道がんのため休養へ


小澤征爾さん会見「半年後に戻ります。人間ドック大事」(朝日新聞)

食道がん治療のため6月までの半年間、活動を休止することを明らかにした世界的指揮者の小澤征爾さん(74)が7日夕、東京都内で記者会見を開いた。小澤さんは「先生の言うことを聞いて治療に専念し、半年後に戻ってきます。人間ドックを受けて本当に良かった」と話した。

 会見での主な質疑応答は以下の通り。

          ◇

 小澤「あけましておめでとうございます。私ごとで新年からお集まりいただき申し訳ありません。年末ギリギリに受けた人間ドック、年に1回受けているんですけどね、それで食道がんが見つかりまして。まだいろいろ検査中で、昨日も検査しまして、それで間違いないということで。

 3年前にも(帯状疱疹〈ほうしん〉などで6カ月間休養して)すごくウィーン(国立歌劇場)にも、仲間にも、お客様にも迷惑をかけまして。本当は今日だって、ウィーンにいなきゃいけない日だったんですよ。ベルリン・フィルにも、ミュンヘンマーラー・チェンバー(ユースオーケストラ)にも、あと、僕ウィーンで子どもオペラというのを始めたんだけど、全部ダメになっちゃって。日本でも水戸室内管弦楽団が20周年を迎えるのに。(ウィーン国立歌劇場の)音楽監督も最後なのでとても残念だけど、ダメでもしょうがない。

 僕としても50年、音楽をやっていて、いろんな実験をしてきたんです。東洋人に西洋のクラシックがどこまでできるのか。それでね、病気を使って宣伝するようで申し訳ないんですが、まだ何も決まっていないんですけど、今年12月、カーネギーホール(米・ニューヨーク)でやるジャパン・フェスティバルの芸術監督をやる話があるんです。この50年、日本の若い人たち(のレベル)がどんどん上がっている。松本(サイトウ・キネン・フェスティバル)をそのままカーネギーに持っていきます。若い人を育てる音楽塾というのも僕、やっているんですけど、これも連れていく。来年9月には松本をヨーロッパにも連れていきます。今月27日、カーネギーで正式に発表されると思いますが。病気を使って申し訳ない。

 1月に僕が振るはずだった「フィガロの結婚」を見るため、もう、飛行機に乗っちゃったお客さんもいるんですよ。お客さまには本当に申し訳ない。新日本フィルにも、ウィーン・フィルにも、ベルリン・フィルにも、水戸室内管弦楽団にも申し訳ない。ウィーンでは、初めて学生の指導をする予定だったのに。

 先生の言うことを聞いて、半年後には戻ってくるつもり。でもね、人間ドックはやるべきですよ。やってなかったら、どうなっていたことか。

 主治医「12月末に胃カメラなどの検査をしまして、病理検査やCTの結果、粘膜の表面の浅いところに見つかった。1週間くらいで結果が出るので、治療の方針を決めるのはその後になります」

 ――夏のサイトウ・キネン・フェスティバル松本はどうなるのか?

 小澤「7月には絶対戻る。サイトウ・キネンは予定通りやります。カーネギーにも、松本を持っていくんですから。

 今ねえ、日本の若い人がとにかく伸びているんですよ。昨年9月にブザンソン(国際指揮者コンクール)、僕も昔優勝したコンクールですが、これで山田和樹くんが一等になった。ロストロポービチ・コンクールでも、宮田大くんが優勝した。彼は奥志賀出身なんですけどね。若い仲間がどんどん伸びている。ブザンソンからは下野(竜也)くん、松尾(葉子)さん、阪(哲朗)さん、バイオリンでも、また内田光子さんなんかも。小菅優さんとかもすごい。管楽器の宮本(文昭)さんとかね。東洋はすごい、と思うんですよ。内視鏡って、日本で発展したんですよ」

 ――自覚症状は?

 小澤「自覚症状はまったくないんです。人間ドックに入らなかったらわからなかった。腰は痛いけど、まあ、それはそのうち直します」

 ――がんと聞いた時の心境は?

 小澤「う〜ん、わからない。僕ね、兄が79歳なんですけど、彼も15年前に食道がんやってるんです。だから、同じ目にあったなあ、って。でも、今はぴんぴんしていて、民話研究のため飛行機で行ったり来たり、僕より飛び回ってる」

 ――がんという病気について、どういうイメージを持っていますか?

 小澤「正直いって、がんのイメージ、わかんないんですよ。研究もしたことないし。他人事みたいで申し訳ないけど。今は全然、平気みたい。僕、鈍感なのかなあ。帯状疱疹の時だって、6週間入院したんですよ。痛かった。先生に任せるしかない。でもね、人間ドックは本当に大事なことですよ。みんなやった方がいいですよ」

 ――ウィーン国立歌劇場音楽監督の任期途中で活動休止ということになるが

 「まったく残念。でもね、ホーレンダー(総裁)も引退しちゃうんだけど、僕は次の年も指揮の仕事は入っている。これからも年1回はやるつもり。時々抜けることもあるかもしれないけど。6月26日にはウィーンでガラコンサートがあるんだけど、うまくいけば振れるかもしれない。でも、先生の言うことを聞きます(笑)。少なくとも、ホーレンダーの隣で見ています」

 ――帯状疱疹で6カ月休んだときは「神様が休む時間をくれた」と語った、今回の心境は?

 小澤「あれは病気から回復した後に言ったことでね、今はもう気兼ねが多くて、とにかく申し訳ない思いです」

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 小澤さんの長女で作家の征良さん、長男で俳優の征悦さんからのコメント「新年早々、お騒がせして申し訳ありません。家族みんなで力を合わせて乗り越えたいと思っています。応援よろしくお願いいたします」


夕方のラジオのニュースで知り、驚きました。

小沢さんといえば、松本市で夏に開催のサイトウ・キネン・フェスティバルの総指揮をされていますが、そこには間に合うようですね。

治療に専念して、元気な姿を見られることを祈念しています。