大阪国際女子マラソン、重友選手が優勝、福士選手は9位

重友が独走で初優勝、福士は9位/マラソン (サンケイスポーツ)

 ロンドン五輪選考レースの第31回大阪国際女子マラソン(29日、長居陸上競技場発着)2度目のマラソンとなった重友梨佐(24)=天満屋=が2時間23分23秒で優勝。日本歴代9位の好タイムで、ロンドン五輪出場へ大きく前進した。2位にガメラシュミルコ(28)=ウクライナ=で2時間24分46秒。3位には野尻あずさ(29)=第一生命=が2時間24分57秒。優勝候補の福士加代子(29)=ワコール=は2時間37分35秒で9位に終わった。

 気温5・5度と肌寒い気候で、招待選手最年少の重友が、他の選手を圧倒する走りをみせた。レースは序盤からハイペース。4人のペースメーカーが1人になってしまうという、異例の展開になった。

15キロすぎに、アテネ五輪7位の坂本直子(31)=天満屋=が先頭集団から遅れ始め、20キロすぎには昨年の世界陸上代表・野尻あずさ(29)=第一生命=も後退。折り返し地点では、重友と福士加代子のマッチレースとなった。

 しかし26キロ過ぎに福士も離され、重友の独走状態に。自己記録の2時間31分28秒を大幅に上回るタイムで、ゴールに駆け込んだ。

 重友は優勝インタビューで「すごくうれしいです。ずっと応援の人がたくさん声をかけて下さったので、最後まで頑張れました。(福士が離れ)後ろは全然様子がわからなかったので、リズムを崩さないようにということしか考えなかったです。(ロンドン五輪は)五輪は夢の舞台なので、少しでもアピールできたらよかったかなと思います」と疲れた様子もみせず、冷静に語った。


重友梨佐

「すごくうれしい。走っている時の応援がすごくて最後まで頑張れた。後ろは全然様子が分からず、リズムを崩さないように走ることしか考えなかった。五輪は夢の舞台。少しでもアピールしたかった」

福士加代子

「エネルギー不足だった。25、26キロから脚が重かった。何とかなると思ったけど、どうやっても持っていけなくて脚が固まった。名古屋はあまり考えてない。(今後は)トラックでしょうね」

福士加代子、再びの悪夢も前向き/マラソン (サンケイスポーツ)

 第31回大阪国際女子マラソン(29日、長居陸上競技場発着)ひとたびスピードを失った福士には、重友の背中を追う馬力も気力も残っていなかった。「脚が重くなって…。何とかなると思ったけど(前に)行かなかった」。26キロすぎに遅れ始めると、後続にも次々と抜かれ、9位でゴール。4年前の悪夢を繰り返した。

 重友とのデッドヒートで中間点まで1時間10分59秒の高速レース。とはいえ、ハーフマラソン日本記録保持者の福士にとっては、必ずしも速いペースではなく、まだまだ余力はあったはず。ただ、「逆にそれが福士の脚には、ボディーブローのようにきいていた」とワコールの永山監督。今回も42・195キロを走り抜くための自分のペースはつかめなかった。

 4年前の大阪では脱水症状を起こして何度も転倒。今回は昨年7月からマラソンに向けた調整を始め、確かな手応えを感じていたが、1週間前から体が重くなり、食事の量も減ったという。「エネルギー不足でしたね。おなかいっぱいになるまで食べなかった」。五輪選考会という大舞台。心身ともにマラソンの難しさを思い知らされた。

 仮に名古屋に強行出場しても、惨敗に終わった今回の結果を覆すことは容易ではなく、本人も「(ロンドン五輪は)トラックでしょうね」と1万メートルでの代表入りを目指す考えもほのめかす。

 ただ、負けたままでは終われないのが福士の性格。「何回でも失敗すると思いながら、いつか成功すればいいかな」と強気な姿勢もみせる。トラックの女王が再びマラソンに挑戦する日は来るのか。今はまだ、本人にも明確な答えは見えていない。

福士選手には頑張ってもらいたかったと個人的に思っていましたが、残念な結果になってしまいました。

4年前の忘れ物はまたしても取りに行くことができませんでした。

神様はまたしても試練を与えたのだと思います。

次のチャンスにはこの悔しい思いを払拭できる走りをしてほしいと思います。