今日の気になるニュース

今日の気になるニュースは、東日本大震災の復興予算が使われることなく今年度に繰り越されているというニュースです。


使われない復興予算 1兆2600億円余りに(NHKニュース)

震災と原発事故で大きな被害を受けた東北の3つの県と市町村では、昨年度使われないまま今年度に繰り越された復旧・復興関連事業の予算が合わせて1兆2600億円余りに上る、異例の事態となったことがNHKの取材で分かりました。
工事を請け負う業者や行政機関の人手不足が主な原因で、専門家は国の支援の強化が必要だと指摘しています。

NHKは岩手・宮城・福島の3県と津波原発事故による被害を受けた42の市町村について、復旧・復興関連事業の予算の執行状況を取材しました。
その結果、福島県大熊町をのぞく3県と41の市町村で、復旧・復興関連事業の予算が昨年度使われないまま今年度に繰り越され、その総額は1兆2673億円余りに上っていることが分かりました。


内訳をみてみますと、
▽道路や漁港などのインフラ復旧費が2613億円
▽除染費用が1909億円、
▽漁港のかさ上げなど水産業関連費用が940億円
▽内陸や高台への集団移転費用が426億円などでした。
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理由は「建設資材と人手」の不足
繰り越した理由について複数回答で尋ねたところ、31の県と市町村が、工事を請け負う業者で作業員や資材が不足しているため入札が成立せず、契約に結びついていないとしています。
さらに27の県と市町村が、職員の不足が続いているため、集団移転や災害公営住宅の事業で用地確保の交渉などが進まず、業者と契約もできないとしています。


国の対応届かず

被災地では、復旧・復興関連の事業が集中している影響で業者の作業員が確保できなかったり、堤防や道路の建設に欠かせない生コンクリートなどの資材が不足していたりして、業者が入札に集まらないケースが相次いでいます。

このため国は、
▽原則、業者が負担することになっている作業員の宿泊費用や交通費などを国が代わりに負担することで、被災地以外からも作業員が確保できるよう促すこと、
▽被災地に生コンクリートを生産する工場を建設して資材の供給量を増やすことを決めています。
しかし、去年1年間に東北3県で発注された工事で、業者が集まらず入札が成立しなかった事業は、▽宮城県で28%
福島県で20%
岩手県で12%で、
依然事業が進まない状況となっています。


自治体も職員不足

また自治体の職員不足も深刻で、東北3県と津波被災地や原発事故の避難区域を持つ39の市町村では、今年度合わせて1991人の職員が足りないとして、国に支援を求めています。
これに対し国などでは、都道府県や市町村に呼びかけて被災地に職員を派遣していますが、総務省などによりますと、ことし3月末の時点で派遣が決まったのは1409人で、582人が不足しているということです。
被災地の多くでは復興に向けた事業が本格化していて、職員の確保などの支援が急がれます。


専門家「国の支援の強化が必要」

地方財政に詳しい東北大学増田聡教授は、改めて復興の遅れが裏付けられたとしたうえで、「この状態が続くと復興に向けたプロジェクトが効率的に行われるかどうかといった問題が出てくるおそれがある」と指摘しました。
そのうえで、業者が入札に集まらないことについては、「国はさまざまな対策を導入しているが、うまく復興につながるようにはなっておらず、なかなか特効薬はない。今後事業が本格化するなかでひとつひとつの自治体ごとではなく、広域でどの事業を優先して行うかといった議論も必要だ」と指摘しました。
また、自治体の職員が足りないことについて、増田教授は「民間の方が豊富にノウハウをもっていることもあるので、行政と民間企業との役割分担を検討したうえで、やれるものについては業務を委託すべきだ」として、国の支援の強化とともに職員の負担を減らす工夫が求められていると指摘しています。

せっかく予算がついても執行されず、繰り越されているようです。

予算の手当てが付いても、それに必要な人的資源(自治体職員や復旧作業従事者)の不足が深刻となっているとのことです。

それが復興への足かせになっています。

国の早急な支援策の実行が求められます。