今日の気になる

今日の気になるは、東京電力新潟県柏崎刈羽原発の再稼働に向けて動き出したというニュースです。


柏崎刈羽原発 安全審査の申請決定(NHKニュース・動画あり)

東京電力は、2日、取締役会を開き、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、できるだけ速やかに国に安全審査を申請することを正式に決めました。

電力会社が原子力発電所の運転を再開するためには、国の原子力規制委員会が今月8日から施行する新たな規制基準に適合することが義務づけられていて、すでに関西電力など4社が早期に安全審査を申請する方針を明らかにしています。
こうしたなか、東京電力は2日、取締役会を開き新潟県にある柏崎刈羽原発のうち、耐震強化策などが進んでいる6号機、7号機については、新たな規制基準が施行される8日以降、できるだけ速やかに安全審査を国に申請することを正式に決めました。
東京電力は、去年、電気料金の値上げに踏み切りましたが、原発の停止に伴い、火力発電用の燃料費が増えたため、巨額の赤字が続く厳しい経営状況となっています。
東京電力では、主力の柏崎刈羽原発の早期の運転再開によって、今年度の黒字化を目指したいとしています。
一方、柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田知事は、福島第一原発事故の検証ができない間は運転再開の議論はできないと繰り返し主張しています。
運転再開には地元の了解が必要なことから、東京電力では引き続き知事をはじめ地元への説明を続けていく方針です。
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新潟県知事「地元軽視だ」

新潟県の泉田知事は「事前に連絡はなく、こんな地元軽視はない」と強い不快感を示しました。
そのうえで、「東京電力福島第一原発の事故の際のTV会議の状況をすべて公開していないなど、検証が不十分で事故の責任もとっていない。運転再開について議論を行う段階ではない」と東京電力の姿勢を改めて批判しました。
一方で、東京電力廣瀬直己社長が直接、新潟県に説明に訪れたいとしていることについて、「断る理由はない」として調整する考えを示しました。


柏崎市長「地元に説明を」

柏崎市の会田市長は「新たな規制基準に沿って、原発の安全対策が十分なのかどうか確認したうえで、地元に対してきちんと説明してほしい」と述べました。
一方で、東京電力が今回の発表や柏崎刈羽原発で進めている安全対策の工事について、事前に説明していないことについて、「地元の了解を事前に得るという手続きをきちんと踏んでほしい」と求めました。


柏崎市民の反応

原発が立地する新潟県柏崎市の市民からは、運転の再開に反対する声が聞かれた一方で、地域経済を立て直すために評価する声も聞かれました。
柏崎市の72歳の女性は「安全対策はまだ不十分だと思っています。東京電力は運転再開に向けて前のめりになっているのかもしれませんが、安全を第一に考えてほしいです」と話していました。
また、79歳の男性は「おととしの原発事故のこともあり、命の問題にも関わるので、再開には反対です」と話していました。
一方で、72歳の男性は「地域経済や雇用が落ち込んでいるので、できるだけ早く再開してほしい」と話していました。


「やむをえないこと」

経済同友会の長谷川代表幹事は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、できるだけ速やかに国に安全審査を申請することを決めたことについて、「事業継続のために運転再開が認められなければ、東電が債務超過に陥ってしまう可能性もあり、やむをえないことだ。東電は企業として存続するために必要な判断をしており、原子力規制委員会は粛々と、また、迅速に調べ回答してもらうことを求めたい」と述べました。


国も理解得る努力を

茂木経済産業大臣は、訪問中のベトナムで「申請が出された段階で原子力規制委員会には厳正で速やかな審査を行っていただきたい。そのうえで安全性が確認されたら東京電力任せではなくて国としても前面に出て自治体などの理解を得るよう努力をしていきたい」と述べました。
また、東京電力の廣瀬社長が、柏崎刈羽原発の停止が続いた場合には料金を値上げする可能性を示唆したことについて、「まずは、いかに燃料の調達コストを抑えるかや経営効率化を図るかという努力を行ってほしい」と述べました。


なぜ再稼働か

新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発は、昭和60年に最初の原子炉が運転を開始しました。
現在、1号機から7号機まで7つの原子炉があり、合計の発電能力は821万2000キロワットと1か所の発電所の規模しては世界最大です。
東京電力は、主力の柏崎刈羽原発の運転停止に伴い、火力発電用の燃料費が増加し、去年には電気料金の値上げに踏み切りましたが、ことし3月期の決算でも6800億円以上の最終赤字を計上し、3期連続の赤字となっています。
東京電力の経営改善の具体策を盛り込んだ「総合特別事業計画」では、来年3月期の黒字化に向けて柏崎刈羽原発の早期の運転再開を業績改善の柱と位置づけていて、ことし4月以降、年内に4基の原発を順次、運転再開させることになっていました。
東京電力では、1基の運転再開で毎月100億円程度の燃料費の削減を見込んでいて、運転停止が続いていることが収益を悪化させているとしています。
来年3月期の黒字化は、政府から公的資金の投入を受けたり、銀行から融資を受けたりした際の前提にもなっていて、黒字化を達成するため、東京電力では柏崎刈羽原発の早期の運転再開に理解を求めています。


柏崎刈羽原発の新基準を巡る対策は

柏崎刈羽原発では、原発の新たな規制基準に基づいた安全対策として、設備の工事や地震津波に備えた調査が進められていますが、東京電力が国の原子力規制委員会に申請をしても、審査で認められるかどうかは不透明です。
このうち、新基準では、東京電力福島第一原発の事故で現場対応の拠点となった「免震重要棟」が重要な役割を果たしたことを踏まえ、同じような地震放射線に耐えられる、「緊急時対策所」を整備するよう求めています。
柏崎刈羽原発では、床面積がおよそ4000平方メートルの免震構造の設備が、3年前の平成22年1月にすでに完成していて、事故時にはおよそ630人が対応に当たることになっています。
また、新基準では、福島第一原発と同じ「沸騰水型」の原発に格納容器の圧力を放射性物質の放出を抑えながら下げる「フィルターベント」の設置を義務づけています。
沸騰水型の柏崎刈羽原発では、「フィルターベント」の工事が、7号機ではことし1月から6号機では先月下旬から始まっていて、いずれも年度内の完成を目指しています。
一方、柏崎刈羽原発では、津波対策の高さ15メートルの防潮堤や盛り土が先月まで完成しましたが、東京電力は、新基準で求められている、発生の可能性がある最大規模の津波の想定についてはどの程度の高さにするかを検討中だとしています。
さらに新基準では、原子炉の真下に活断層がないことを求めていますが、柏崎刈羽原発では、6号機と7号機を含む6基の原子炉建屋の直下に23本の断層があり、東京電力は、ことし4月、これらの断層について20万年前以降の活動はないとして、「活断層ではない」という調査結果をまとめています。
これに対し新基準では、断層について、これまでどおりの「12万から13万年前以降に活動したかどうか」で評価をし明確に判断できない場合には、「40万年前以降にさかのぼって」評価することが盛り込まれていて、東京電力が申請をしても、規制委員会の審査で認められるかどうかは不透明です。

福島第一原発の事故についての検証や対策が不十分な中での再稼働の動きには憤りを感じます。

地元軽視ばかりでなく、国民世論をも軽視しているとしかいいようがありません。

東京電力の保身ともとれる動きだと思います。

もっと国民の目線で物事を考えてほしいものです。