今日の気になる

今日の気になるは、幻の貨物新幹線構想があったことを証言したというニュースです。


幻の貨物新幹線 本気だった(東京新聞)

 旧国鉄東海道新幹線開業前後に検討し、鉄道ファンの間で「幻の計画」として知られる東京−大阪間の貨物新幹線計画の詳細を、当時の担当者で、後に首都圏本部長も務めた元常務理事が本紙に明らかにした。貨物輸送が実現しなかったにもかかわらず国鉄首脳がその理由を明確にしなかったため、新幹線建設に世界銀行(世銀、本部ワシントン)の融資を受ける目的での「見せかけの構想」だったとの指摘も出ていた。だが、元理事は、東京、静岡、名古屋などでの貨物ターミナル用地の買収も済み、工事が始められていた事実を指摘し、「真剣な計画だった」と反論している。


 この元理事はJR九州初代社長の石井幸孝氏(80)。石井氏は、国鉄が一九七〇年に作成した「車両の今後のあり方(ビジョン)」を車両課総括補佐として取りまとめた。ビジョンには、機関車が貨車を引くのでなく、電車方式での新幹線コンテナ特急の詳細な検討図が盛り込まれている。


 六四年に開業した東海道新幹線の建設をめぐっては、政府の国鉄幹線調査会が五八年、東京−大阪を三時間で結ぶ旅客超特急とともに五時間半で走る貨物新幹線を答申。具体的な検討は国鉄の新幹線総局計画審議室などに引き継がれた。


 石井氏によると、国鉄は貨物取扱駅の設計図を作製し、東京都品川区、静岡市葵区名古屋市中村区、大阪府摂津市の四カ所に用地を買収した。しかし、当初、二千億円弱と見積もられた東海道新幹線の建設費が急激なインフレにより三千八百億円に膨れ上がり、世銀から八千万ドル(当時の換算で二百八十八億円)の融資を受けたものの、貨物輸送を断念させられたという。


 計画断念後、貨物新幹線用地は用途を変更し、現在は在来線貨物駅の東京貨物ターミナルや車両基地などに使われている。摂津市の大阪貨物ターミナルの近くには未完成の高架施設も残っている。


 石井氏は「当時定めた国鉄コンテナの規格も、新幹線コンテナ特急に積み込むことを想定し大きさを決めた」と強調。世銀に融資を求める際に貨物が鉄道輸送の主力である米国の理解を得ようとして見せかけの貨物新幹線計画を盛り込んだ、とする見方を否定した。


 その上で「鉄道輸送はトラックに比べて二酸化炭素排出量が約七分の一、エネルギー消費量も十分の一程度。環境対策のためにも、かつて計画した経験を生かし、全国の新幹線網を利用した貨物輸送を再検討すべきだ」と訴えている。

このような話は初めて聞きました。

記事にもあるように、鉄道輸送は環境負荷がトラックに比べて低いと言われています。

ただ、新幹線網を活かした貨物輸送は技術やコストの面で確立されない限りは現実味は少ないと思います。

こうした課題をクリアできれば、鉄道での貨物輸送の復権につながるのではないでしょうか。