福田内閣誕生 「背水の陣内閣」

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asahi.com:外相に高村氏、防衛相に石破氏 文科相に渡海氏 - 福田新内閣

 自民党福田康夫総裁は25日夕、第91代首相に選出され、首相官邸に組閣本部を設置し、自民、公明両党による連立内閣発足に着手した。



 内閣の要となる官房長官には前外相の町村信孝氏が選ばれた。

 新閣僚の顔ぶれは、以下の通り。


    ◇ ◇ ◇ 


◇総理

福田康夫(ふくだやすお)71歳=衆(当選6回)群馬4区


◇総務(再任)

増田寛也(ますだひろや)55歳=非議員(元岩手県知事)


◇法務(再任)

鳩山邦夫(はとやまくにお)59歳=衆(当選10回)福岡6区


◇外務(新任)

高村正彦(こうむらまさひこ)65歳=衆(当選9回)山口1区


◇財務(再任)

額賀福志郎(ぬかがふくしろう)63歳=衆(当選8回)茨城2区


◇文部科学(新任)

渡海紀三朗(とかいきさぶろう)59歳=衆(当選6回)兵庫10区


◇厚生労働(再任)

舛添要一(ますぞえよういち)58歳=参(当選2回)比例


◇農林水産(再任)

若林正俊わかばやしまさとし)73歳=参(当選2回)長野


◇経済産業(再任)

甘利明(あまりあきら)58歳=衆(当選8回)神奈川13区


◇国土交通(再任)

冬柴鉄三(ふゆしばてつぞう)71歳=衆(当選7回)兵庫8区(公明党


◇環境(再任)

鴨下一郎(かもしたいちろう)58歳=衆(当選5回)東京13区


◇防衛(新任)

石破茂(いしばしげる)50歳=衆(当選7回)鳥取1区


◇官房(新任)

町村信孝(まちむらのぶたか)62歳=衆(当選8回)北海道5区


◇国家公安(再任)

泉信也(いずみしんや)70歳=参(当選3回)比例


◇沖縄・北方(再任)

岸田文雄(きしだふみお)50歳=衆(当選5回)広島1区


◇金融、行政改革(再任)

渡辺喜美(わたなべよしみ)55歳=衆(当選4回)栃木3区


◇経済財政(再任)

大田弘子(おおたひろこ)53歳=非議員(元政策研究大学院大教授)


少子化男女共同参画(再任)

上川陽子(かみかわようこ)54歳=衆(当選3回)静岡1区

圧倒的に横滑り、あるいは再任という形の組閣でした。政治的空白を避けての配慮であると思います。

気になるのは、防衛大臣に就任した石破茂氏ですが、防衛庁長官(当時)時代には、モーニング娘。防衛庁のポスターに起用したことがあったのはご存知かと思いますが、今回はそういったことがあるのでしょうか?

どうでもいいですがね。



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asahi.com:福田内閣が発足 自ら「背水の陣内閣」と位置づける - 福田新内閣

自民党福田康夫総裁(71)は25日、衆参両院の首相指名投票を経て第91代首相に選ばれ、自民、公明両党による福田連立内閣が事実上、発足した。内閣の要の官房長官町村信孝外相を起用。外相の後任に高村正彦防衛相を横滑りさせ、防衛相に石破茂防衛庁長官を充てた。総裁選で善戦した麻生太郎前幹事長には入閣を要請したが、固辞された。開会中の臨時国会への影響を最小限にするため、安倍改造内閣の閣僚17人のうち15人を閣内に残す「居抜き内閣」となった。新内閣はまず、11月1日に期限が切れるインド洋での海上自衛隊による給油活動の継続問題に取り組むが、参院第1党の民主党は反対姿勢を崩しておらず、厳しい政権運営を迫られそうだ。

 福田氏は25日夜、首相官邸で記者会見し、自らの内閣を「一歩間違えれば、自民党が政権を失う『背水の陣内閣』」と位置づけた。参院選での与党惨敗を念頭に、「政治不信の解消に全力を傾ける」と強調。国会運営でも野党との協議を重視する考えを繰り返した。終始、低姿勢で「国民への説明責任を十分に果たしたい」とも語った。福田内閣は26日午前の皇居での首相の任命式と閣僚の認証式を経て、正式に発足し、初閣議を開く。

 福田氏は閣僚人事で、官房長官に起用した町村外相自民党幹事長に充てた伊吹文明文部科学相の穴を埋める以外は、すべて再任か閣内での横滑りという「必要最小限」(福田氏)の人事にとどめた。国会開会中の安倍前首相の突然の辞任という緊急事態を踏まえ、閣内や与党の「安定」を最重視した「守りの布陣」だ。

 新内閣の閣僚は、直ちに国会答弁に立つことを求められる。準備時間はほとんどなく、逆転国会を乗り切るには現閣僚の続投が得策との判断だ。テロ特措法の審議に臨む防衛相には02年から04年まで防衛庁長官を務めた即戦力の石破氏を起用。初入閣は渡海紀三朗文科相だけだ。

 「政治とカネ」の問題に絡み、閣僚候補の「身体検査」に十分な時間をさけない事情もあった。この問題で不祥事が発覚すれば、野党の追及で新内閣は発足早々、立ちゆかなくなる恐れがある。

 福田氏は麻生派以外の8派閥に推されて党総裁に就任した。一部閣僚だけ交代させ、人事で不満をもたれるより現状維持を優先した側面もありそうだ。麻生氏の入閣は見送られたが、総裁選で麻生氏支持の鳩山法相、甘利経済産業相は再任された。福田氏は大野松茂岩城光英の両官房副長官中山恭子山谷えり子首相補佐官も再任した。

 そうした中、福田氏が重視したのが首相官邸の体制。官房長官は出身派閥から充てるのが通例だったが、安倍前首相は古賀派塩崎恭久、無派閥の与謝野馨両氏を起用。福田氏は出身派閥の領袖(りょうしゅう)の町村氏を充てた。さらに事務の副長官には的場順三氏に代え、小泉政権で正副官房長官としてコンビを組んだ二橋正弘氏を再登板させた。

 組閣に先立って25日午後、衆参両院の本会議で行われた首相指名投票では、与党が過半数を占める衆院は福田氏、与野党が逆転した参院は第1回投票の上位2人による決選投票の結果、民主党の小沢代表をそれぞれ指名。衆参の議決がわかれたため、両院協議会が開かれたが、意見は一致せず、憲法67条の規定により衆院の議決が優先され、同日夕に再開された衆院本会議で福田氏指名が正式に決まった。

 衆参両院で首相指名が異なったのは、98年に衆院小渕恵三氏、参院民主党菅直人氏が指名され、最終的に小渕氏が首相に選出されて以来、9年ぶり4回目。


↑の通り、一歩間違えれば…、という政権運営を迫られる状況です。野党の声にも耳を傾けていかなくてはいけませんね。


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asahi.com:福田内閣、試練の船出 外交・経済かじ取りどうなる - 福田新内閣

福田首相が直面する外交・内政の課題は多い。「対外公約」となった海上自衛隊のインド洋での給油活動を継続できるかどうかは、今後の日米関係のありようにもかかわる。「対話と圧力」を掲げる北朝鮮への対応では、安倍前首相より「対話」の比重を増やす構えだ。一方、参院選惨敗の主な原因となった格差の是正では、小泉政権以来の構造改革路線をどう修正するかが焦点となる。「福田丸」の政策のかじ取りは――。

 ●外交 給油継続どう打開 拉致解決へ対話も

 福田首相は森・小泉両内閣の官房長官当時、「影の外相」とも呼ばれ、01年の米同時多発テロを受けたテロ対策特別措置法制定を主導し、小泉・ブッシュ両首脳による日米蜜月を支える黒衣役に徹した。引き続き日米関係を基軸としつつ、アジア重視の外交に取り組む考えだ。

 新政権が最初に直面する外交課題は、海上自衛隊のインド洋での給油の根拠法で、11月1日で期限切れとなるテロ特措法の延長問題だ。福田氏は活動を継続させる意思を明確にしている。

 もともとテロ特措法は「憲法の枠内」におさまるように法制化され、戦闘状態のアフガニスタン本土への自衛隊派遣はできない。海自の給油は、多国籍軍の後方支援を日本が担うアピールの意味合いが強い。国益が強調されがちな安全保障の議論だが、テロ特措法には福田流の「安全、安上がり」という合理主義も反映している。

 このため、福田氏は安倍前首相が積極的だった集団的自衛権の見直しには慎重だ。ただ、国連PKOや平和構築への参加には前向きで、テロ特措法のような時限立法ではなく、海外への自衛隊派遣を定める恒久法を検討したい考えだ。

 さらに注目されるのは北朝鮮拉致問題への対応だ。福田氏は総裁選で「私の手で拉致問題を解決したい」と訴え、「拉致が解決し、核もミサイルも『もうやめた』となれば国交ができる。日本海を中心とした地域が次の発展を迎える」など国交正常化に道筋をつける意欲を示した。

 日本政府の基本姿勢は「対話と圧力」だが、福田政権では安倍政権の「圧力」重視から「対話」により比重を置く路線転換を模索することになりそうだ。当面の課題は10月13日で期限切れを迎える対北朝鮮経済制裁への対応だ。

 安倍前首相は「自由と民主主義という共通の価値」を持つとして、インド、豪州などとの連携を強化。こうした姿勢は中国への牽制(けんせい)とも受け止められていた。

 これに対し、福田氏は「どの国ともできるだけ滑らかな平和な関係を築くこと」を外交の基本に据える。「相手が嫌がることをする必要はない」として、靖国神社参拝はしないと明言。日中韓の連携強化を訴える。

 また、父の福田赳夫元首相が提唱した東南アジア外交の基本方針「福田ドクトリン」を発展させることにも意欲的だ。官房長官当時の私的諮問機関「国際平和協力懇談会」は02年12月、政府の途上国援助(ODA)の紛争予防、復興支援への活用や、平和構築の分野で官民連携して人材育成、研修などを行うことを提言した。

 理念が先行しがちだった安倍外交に比べ、福田外交は国際協調、現実主義が、より前面に出たものになりそうだ。

 ●経済 市場主義にブレーキか 増税にらみ「プロ」重用

 経済財政政策では、小泉・安倍政権と続いた構造改革路線が、福田政権の発足で大きな岐路を迎えている。

 無駄を省いて歳出削減を図り、規制改革などによって民間に委ねられる事業を民間に移し、市場競争を活性化して経済成長を促す――。小泉元首相は「改革なくして成長なし」と繰り返した。

 これに対し、福田氏は「経済合理主義の行き過ぎた形だと思う」(19日、外国特派員協会で)と語り、自民党総裁選を通じて「共生」という言葉を繰り返した。

 官邸の変化に、早くも「『市場』や『競争』という言葉を使いにくくなる。説明の仕方を工夫しないと」(政府関係者)との声があがる。「小さな政府」の実現と、税収の自然増につながる経済成長戦略としての「民間活力の活用」が後退しかねない。

 小泉元首相が郵政民営化と並んで意欲を示してきた道路特定財源一般財源化の行方にも不透明感が増している。

 福田氏は23日の党総裁就任後の会見で「払っている人の利益に関係のないところで使われるのはどうか、ということは議論した方がいい」と慎重な姿勢を示した。もともと与党の反発が極めて強い政策だけに、官邸の姿勢に変化があれば頓挫する可能性もある。

 一方、歳出増につながりそうな施策は目白押しだ。基礎年金は09年度に国庫負担分を現在の3分の1から2分の1に引き上げることが決まっており、約2.5兆円の新たな財源が必要となる。民主党日本経団連御手洗冨士夫会長はさらに、基礎年金全額の国庫負担化を主張しており、福田首相も選択肢として検討を否定していない。

 与党はまた、08年度に予定される高齢者医療費の負担増の凍結について「早急に結論を得て措置する」ことで合意。1000億円を超える国庫負担が発生する可能性もある。

 しかし、06年に閣議決定された政府指針「骨太の方針」には、5年間で最大14.3兆円の歳出削減方針が盛り込まれている。福田氏はこれまで歳出減の具体策を示していない。政府公約の「基礎的財政収支の2011年度の黒字化」に黄信号がともりかねない。

 消費税増税の行方も注目される。

 福田首相の党役員・閣僚人事で、政調会長に就任したのは小泉政権下で一貫して財政再建路線を主張してきた谷垣元財務相町村官房長官、伊吹自民党幹事長ら自民党税調出身者も並び、「税金のプロ」がにらみをきかせる構図になった。

 消費税率見直しの議論を本格化させる布陣が整ったといえ、谷垣氏は24日のテレビ番組で「そろそろ逃げずに(議論を)やらないと(国民生活が)おかしくなる」と早速意欲を示した。


↑に挙がっている、テロ特措法や消費税問題、財政問題ももちろん課題ですが、年金問題地域格差問題、雇用問題にも取り組んでほしいものです。