リニア中央新幹線、直線ルートを国に答申


リニア中央新幹線:国交省審議会、「直線」で最終答申 耐震追加策なし(毎日新聞)

 国土交通省の交通政策審議会・中央新幹線小委員会は12日、東京−名古屋間で最短の南アルプス(直線)ルートを取るJR東海リニア中央新幹線計画を妥当とする最終答申を行った。大畠章宏国交相は今月中にも整備計画の決定を行い、同社に建設指示を出す。東日本大震災を受けて耐震補強策の拡充が必要かどうかも4月に議論したが、結果的に追加対策を求める記述は盛り込まなかった。


 震災発生でリニア中央新幹線の耐震・防災対策が妥当かどうか改めて注目されたが、JR東海は4月14日の会合で、東北新幹線が震災で大きな被害を受けず、早期復旧を果たせたのは阪神大震災後に見直された耐震基準による補強が行われたためと説明。その上で、東北新幹線と同等の基準で建設を想定しているリニア中央新幹線には、「追加的な投資は必要ない」と主張していた。


 最終答申は、想定される東海地震で交通の大動脈が寸断されることを避けるためには、東海道新幹線のバイパス機能を持つリニア中央新幹線の重要性が「更に高まった」と指摘。その一方で、耐震・防災対策の拡充を求める記述は盛り込まれず、JR東海の主張を容認する形になった。


 また答申では、JR東海が45年と設定している東京−大阪の開業時期について「想定を上回る収益が上げられれば早めることも期待できる」と言及。付帯意見で、経済効果の観点から「大阪開業をできる限り早く実現させることがきわめて重要」と指摘した。


 JR東海は、工事実施計画の申請・認可などを経て、14年度の着工を目指す。


 総工費は9兆300億円で、東京−名古屋間は27年、東京−大阪間は45年の開業を計画している。時速500キロ走行での所要時間は東京−名古屋間が40分、東京−大阪間は1時間7分を予定している。


 ◇中間駅建設費、自治体と対立 JR東海、負担膨張も 

 リニア中央新幹線計画の妥当性を審議してきた交通政策審議会がゴーサインを出したことで、JR東海は着工に向けて大きく一歩踏み出すことになった。ただし東京、名古屋、大阪の主要駅以外に沿線各県に一つずつ設ける予定の「中間駅」については、建設費負担を巡って沿線自治体と折り合いがついておらず、今後調整が必要になる。同社の負担が膨らむ可能性もあり、巨額の建設費を同社が単独で捻出できるかどうか懸念も浮上している。


 東京、名古屋、大阪の主要3駅はJR東海自身が整備するが、それ以外の通過県(神奈川、山梨、長野、岐阜、三重、奈良の6県)に一つずつ設ける予定の中間駅については、同社は自治体の全額負担を求めている。しかし、自治体側は負担軽減を求めており、同審議会の中間報告では、JR東海と沿線自治体に調整を求めていた。しかし主張は平行線のまま。このため最終答申では、付帯意見で中間駅建設費の負担について、JR東海自治体の間で合意が得られない場合、国が調整に関与することを求める一文を盛り込んだ。自治体の主張に配慮した形で、国や政治の介入を嫌い、自力建設に強いこだわりを見せていたJR東海にとって、不本意な結果となった。


 中間駅の建設費は地上なら1駅350億円、地下なら1駅2200億円かかると見込まれている。中間駅を除く建設費8・4兆円を自己負担する予定のJR東海だが、中間駅についても費用負担を求められれば、重荷となる可能性がある。


 東日本大震災発生後に乗客減で収益が大幅に悪化したことも、同社にとっては誤算だ。中部電力浜岡原発の運転停止という悪材料もさらに重なった。需要低迷が長引けば、リニア中央新幹線建設を支えうるはずだった財務基盤が弱体化し、開業時期が後ずれする可能性も出てくる。


リニア県内駅 本格協議へ 国審議会、Cルート整備を答申 (信濃毎日新聞)

 国の交通政策審議会の中央新幹線小委員会は12日、リニア中央新幹線(東京都−大阪市)について、南アルプスを貫くCルートとした整備計画や営業・建設主体をJR東海に指名するとした答申書をまとめた。審議会答申として家田仁委員長(東大大学院教授)から答申書を受け取った池口修次国土交通副大臣は「答申を最大限尊重する」と述べた。大畠章宏国交相が月内にも整備計画を決定、JR東海に建設を指示する見込みだ。


 阿部守一知事は同日、「一つの区切りを迎えた。県としても答申を尊重すべきと考える」と表明。月内にもJR東海の山田佳臣社長と初めて会談する方針で、Cルートを前提に、県内中間駅の位置や建設費について、県側とJRの協議が本格化する。JRは14年度内の着工に向けて環境影響評価などの準備を進める。


 答申は、4月21日に公表した答申案と実質的に全く同じ。JR東海が示す中間駅の位置や、地元負担を求めている建設費などをめぐり、沿線地域とJRの調整に対し、必要に応じて国が関与するよう求める付帯意見も変更はなかった。


 国交省鉄道局は12日の最終会合で、リニアの消費電力について2027年の東京−名古屋開業時、1時間当たり片道5本運行する想定で最大消費電力は約27万キロワットとし、同13本程度運行する東海道新幹線の同区間と「おおむね同じ水準」とする試算を示した。片道8本に増やす45年の大阪開業時で約74万キロワットとした。


 前原誠司国交相(当時)が昨年2月、同審議会に諮問。小委員会が3月からこの日まで20回の会合を重ねた。

これでリニア中央新幹線建設に向け、大きな一歩を踏み出したことになります。

中間駅設置の問題や南アルプスを横断するトンネルの安全性、他、東日本大震災で急浮上したリニア中央新幹線自体の耐震問題など、課題は山積しています。

こういった課題をクリアにして、建設計画を進め、少しでも早い完成を望みたいです。


長野県に関して言えば、リニア中央新幹線を軸にした交通体系のビジョンの策定を進めてほしいと思います。