ガソリンスタンドの2月危機が深刻化

今日夕方のローカルニュース(長野朝日放送)で、栄村を例にして、ガソリンスタンドの2月危機についての話題がとりあげられていました。


ニュース検索をした中から、長野県内外の2つの記事をピックアップします。


給油所が直面する“2月危機” 過疎地では不安の声が…(産経新聞)(gooニュース・15日)

全国のガソリンスタンド(給油所)で2月以降、廃業が相次ぐ事態が懸念されている。低燃費車の普及などでガソリン需要の減少による収益悪化に加え、1月末までに設置40年以上の老朽化した地下タンクの交換や改修を義務づける改正消防法の規制が追い打ちをかけているためだ。とりわけ後継者不足などに悩む過疎地域では、事業継続を断念するケースが増えるとみられ、国や自治体の補助などで存続を図る動きも出ている。

 和歌山県で住民らが存続求め署名

 和歌山県南部の山間部に位置するすさみ町佐本地区。人口約300人の地区に、給油所はJA紀南の佐本給油所1カ所だけだ。

 JA紀南によると、地下タンクの老朽化でいったんは閉鎖を検討。しかし、この給油所がなくなると、最寄りの給油所まで約18キロも離れており、「災害時などに地区が孤立する事態」(JA紀南)が心配された。

 住民らからは存続を求める署名が町に寄せられ、JA紀南は「地区の生活を守るという点も考慮」して給油所存続を決定。町も補助金支給を決め、国と合わせて計約300万円の補助を受けて、JA紀南は軽油用の地上タンクなどを購入した。

 一方、同県白浜町の人口約500人の川添地区では、唯一の民間の給油所が近く廃業する見通しだ。男性店長は「地区の人たちには申し訳ないが、改修費の負担は大きい。暖房の燃料が必要な冬の間は続けたいが…」と話す。

 ◆事業者にのしかかる改修費

 改正消防法は地下貯蔵タンクの経年劣化による流出事故が相次いだことなどを受けて平成23年に施行。

 主に設置から40年以上経過した地下タンクについて、タンクの交換やタンク内部への強化プラスチックの被覆、油漏れ探知機の設置などの措置を、今年1月末までに実施するよう義務づけている。事業者が対応しない場合は、使用許可が取り消される可能性がある。

 総務省消防庁によると、対応を迫られるタンクは、24年9月末時点で全国に約4万3千基。うち改修が済んだタンクは約1万2千基にとどまる。

 一方、業者によると、改修費用はタンク内に被覆を施す場合で、タンク1基あたり約100万〜200万円。ハイオクや軽油など種類ごとにタンクを設置するケースが多い上、車の低燃費化や人口減による需要の減少などで、改修費など設備投資の負担が重くのしかかる。

 全国の給油所の経営状態を調査した帝国データバンクの担当者は「特に、1カ所の給油所のみ経営する業者は改修工事の期間中、収益を得られなくなる場合がある」と指摘。「資金繰りに頭を悩ませ、事業継続を断念する業者が増える可能性があり、全国的に『ガソリン空白地帯』が増加するかもしれない」と危惧する。

 ◆給油所は災害時の地域の生命線
 車以外の交通手段がない過疎地域にとっては、給油所は暮らしに欠かせない重要なインフラのひとつ。災害時には燃料供給の拠点ともなり、廃業は地域の孤立化につながりかねない問題だ。

 このため、自治体や地域が補助金支給などで給油所を維持しようとする動きが全国で出ているが、事業継続を断念する経営者は少なくないとみられる。

 資源エネルギー庁の調査によると、市町村内の給油所が3カ所以下の自治体は、23年3月時点で全国で238市町村にのぼる。同庁は「給油所は寒冷地では暖房燃料の供給基地でもある。なくなれば燃料供給のネットワークが途絶えてしまう。エネルギーの安定供給のためにも存続の道を探りたい」としている。

ガソリンスタンドの2月危機が騒がれている背景には、消防法の改正があり、設置から40年を経過したタンクは改修しなくてはならない状況に迫られているという実情があります。

しかし、価格競争にさらされている石油業界においては、改修工事に必要な費用を捻出するのに困難を極め、改修ができない業者は廃業に迫られているという状況に直面しています。


その中で、行政がガソリンスタンドの維持を手助けした事例が長野県にあります。


天龍村 村内唯一の給油所、更新へ(南信州新聞・12日)

天龍村で唯一となっていた給油所の継続が決まり、閉鎖を懸念していた村や村民らを安どさせている。タンクの老朽化を受け、施設更新が迫られた綿治硝子店(原治義社長)=飯田市上郷別府=がエリア内での移転、継続を決定。村も継続に感謝し、後方支援を誓っている。



 村内には2つの給油所があったが、2009年3月に1事業所が閉鎖。綿治の平岡給油所が唯一の施設となっていたが、タンクの老朽化で更新か閉鎖かの選択が迫られていた。



 同店が閉鎖した場合、村民にとってもっとも近いスタンドは10キロ以上離れた飯田市信濃、または阿南町の給油所となってしまい、高齢化率が54%を超える村にとっては、燃料に加え暖房用灯油の確保も困難になることが予想され、重要課題となっていた。



 同社の継続意向を受け、村は昨年5月に協力を表明。燃料供給対策協議会を設置したほか、用地の確保、補助金取得などの後方支援に努めてきた。



 新店舗の用地は、村内でも利便性の高い平岡長野町の役場近くに決定。昨年末から整備が始まり、年度内の完成を目指している。



 原社長は継続を決めた理由について「長年、利用していただき、村民の皆さんにお世話になった。村内の給油所をゼロにするわけにはいかなかった」と説明。「スタンド経営は厳しく、合理化競争が進んでいるが、縮小せずに地域とともに歩む姿勢を社員に見せ、モチベーションの維持につなげてほしいという願いもあった」と話した。



 全国では給油所数が3カ所以下の地域が243カ所(11年度末)あり、石油製品の供給不足の問題が顕在化しているという。自治体や住民らが直轄運営し、維持している事例も増えている。



 そうした情勢下での、継続意向に大平巖村長は感謝。「村民の生活にとって給油所は必要不可欠な施設。身を削っての継続に本当に感謝している。村を挙げて後方支援をしていきたい」と話していた。

私の母方の伯母さんが、天龍村と同じ郡内にある売木村にある村内唯一のガソリンスタンドを経営していますが、母の話では、伯母の経営するガソリンスタンドもタンクの改修に該当し、経営を続けるか否かで悩んでいるそうです。

特に過疎地域では、地域住民の生活の安定の確保のためにも、行政がガソリンスタンドの維持に関わるべきではないかと思います。