リニア中央新幹線 調査報告書提出へ


JR東海:リニア3路線の地形調査結果を報告 自民党委に(毎日新聞)

JR東海松本正之社長は21日、自民党の「リニア特命委員会」(委員長・堀内光雄元総務会長)に出席し、2025年に東京−名古屋間の開業を目指す「リニア中央新幹線」に関して建設の前提となる地形地質調査の結果を報告した。そのなかでA〜Cの3ルートの建設を提示し、いずれも建設可能とした。

 同社は22日、調査結果を国土交通省に報告する。今後、南アルプスをトンネルで貫いて東京−名古屋間をほぼ直線で結ぶ「Cルート」で地元自治体などと本格的な調整に入る。

 リニア新幹線の想定ルートは、南アルプス付近については、北側へう回して木曽谷を南下する「Aルート」▽北側へう回して伊那谷を通る「Bルート」▽トンネルで貫く「Cルート」−を調査した。報告を受け、国交省は同社に対し、輸送力や建設費、車両の技術開発−−などの調査を指示する。

 同社は、東京−名古屋間(建設費5兆1000億円)を含む中央リニア新幹線区間について、自己負担で建設する構えだ。このためコスト面で有利なうえ、乗車時間も短くて済むCルートでの建設を希望している。

 一方、途中経路に当たる長野県などの地元自治体は、地域振興の観点から県内主要都市に停車駅が設けられるBルートでの建設を希望している。国交省も「(リニア建設には)地元調整が必要」(春田謙事務次官)との立場で、同社独自の判断でルート選定するのは難しい情勢だ。

 堀内委員長は閉会後の記者会見で「JRが採算性を重視するのは理解できるが、リニア新幹線は公共事業だ」として、地元調整の必要を強調。松本社長も報道陣に「中間駅の設置なども含め、地元としっかり意見交換していく」と語った。

 金子一義国交相は同日の閣議後会見で「明日にでも、JR東海から地形地質調査報告書を頂く。年内にも(建設費など)の調査指示を出したい。JR側には地域との調整を図っていただきたい」と話した。

官庁へ提出するせいか、当たり障りのない内容のようですが、JR東海はあくまで南アルプスを貫通するCルートを推す考えでいると思います。


このニュースを長野県ではどうとらえているのでしょうか。


リニア中央新幹線、JR東海「全ルート建設可能」(信濃毎日新聞)

JR東海名古屋市)と鉄道・運輸機構(横浜市)は21日、都内の自民党本部で開いた党の「磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)に関する特命委員会」(堀内光雄委員長)で、東京−大阪間の中央新幹線計画について、地形・地質調査報告書の概要を説明した。長野県側が要望する諏訪・伊那谷回りのB、JR東海が想定する南アルプスを貫く直線のC、木曽谷回りのAの3ルートすべてで「施工上の留意点はあるが、路線建設は可能」とした。

 特命委は内容を了承。JR東海などは22日、国土交通省に報告書を提出する。

 特命委に同席した国交省鉄道局は、整備計画決定に向け今後必要となる建設費など4項目の調査について「ルート、駅などに関し、地域と調整を図ることを前提」とし、JR東海などに年内に指示する方針を示した。

 旧国鉄時代の1974(昭和49)年から約30年続いていた地形・地質調査が終了。停滞していたリニア中央新幹線計画は、全国新幹線鉄道整備法の手続き上、実現へ前進することになった。ただ、ルートをめぐり、長野県側とJR側との考えに隔たりがあり、調整は難航が予想される。

 JR東海は1990年、同機構と共に東京−大阪間の地形・地質調査の指示を受けていた。弾性波探査を73カ所、ボーリング調査を280カ所で実施、地表踏査は5700平方キロメートルに上った。

 首都圏−中京圏間の2025年開業を目指すJR東海松本正之社長は特命委への説明後、記者団に「実際に(国に)報告がなされると、一歩進むということになる。これからがスタート」と語った。地元との調整については「まず話を聞き、私どもがどういう計画、構想を考えているか話したい。そのプロセスの中で(ルートなどの)姿が見えてくる」との考えを示した。

 金子一義国交相は同日の閣議後会見で、地元との調整は「JR東海主体でやっていただく」と述べ、国は関与しない考えを示した。

 村井知事は、地域との調整が今後の調査の前提とされたことについて「当然、そのような手続きで進むと思っていた。国の調査指示が出れば、JR東海から(協議の)話があるのではないか。そこで初めてまともなやりとりが始まる」と述べた。直線ルートについては、南アルプス一帯の自然への影響などを考慮する必要があると指摘。「地域の協力をどのように確保していくか。整備計画は地元の人たちが受容できるものであってほしい」と話した。

リニア新幹線「3ルート可能」JR東海が報告書(SBC信越放送・動画あり)

リニア新幹線についてJR東海は、南アルプスを貫く「直線ルート」も含めた3つのルートでの建設が可能とする報告書をまとめました。

報告は3ルートを併記していますが、JRは「直線ルート」での建設を目指していると見られ、諏訪から伊那谷を通るルートを主張する長野県との調整は難航しそうです。

JR東海自民党本部でけさ開かれたリニア特命委員会で報告書の内容を説明しました。

リニアの建設に向けてJR東海は東京〜大阪間で280か所のボーリングなど地形や地質の調査を行いました。

この結果、これまで検討されてきた甲府から木曽を抜けるAルート、諏訪と伊那谷を通るBルートに加えて南アルプスを貫く直線ルートでも建設が可能としています。

JR東海は採算面などから直線ルートを想定していると見られますが、長野県はBルートでの建設を主張しています。

きょうの会合で自民党リニア特命委員会の堀内光雄委員長は「直線ルート案が先行して、混乱を招いている面がある、最終的にルートを決めるのは国」と、JR側の動きに釘を刺しました。

一方、JR東海松本正之社長は今後の地元との調整について、「地元との調整は避けられない問題なので、しっかり取り組んで行きたい」と話しています。

JR東海はあす、国土交通省に報告書を提出する予定で、国土交通省はルートなどについて地域と調整をはかることを前提に、輸送量や建設費用などの調査を指示する方針です。

これまでBルートでの建設を求めてきた県内からは、反発の声が上がっています。

村井知事は「諏訪・伊那谷経由のBルートで行こうと20年も前に意思を統一したわけで、私からすれば変える理由はない、地方自治体の意見を聞かずに鉄道の線路を引っ張るなんて明治以来なかった」と述べ、JRを強くけん制しました。

直線ルートの場合、沿線から外れる諏訪地区の商工団体でつくる建設促進同盟会の五味光亮会長は、「高速で大量の人を運ぶことができる輸送網なので、ぜひ沿線の地域も発展するようにすべき」としています。

飯田市の牧野市長はきょう示されなかった中間駅のあり方に注目し、「考えていることは早期着工と飯田駅の設置、ルートについては今まで通りのスタンス」と答えました。

直線ルートを理想とするJR東海との隔たりは大きく調整は難航が予想されています。

計画が決まってから35年、リニアは新たな段階に入りましたが、ルート決定までにはまだ紆余曲折が続くことになりそうです。

長野県はあくまでBルートにこだわっているようです。


それを決定づけるニュースが昨日もたらされました。


リニア新幹線「県のコンセンサスはBルート」と知事が明言(SBC信越放送・動画あり)

東京と名古屋を結ぶリニア中央新幹線について、JR東海南アルプスを貫く「直線ルート」を検討していることに対して村井知事は、「県内はBルートで合意している」と改めて明言し、JRの動きをけん制しました。

村井知事は諏訪市を訪れ、諏訪地方の市町村長と地域の政策課題について意見交換しました。

この中で山田諏訪市長などはリニアについて、「直線ルートが既成事実化している」と危機感を示しました。

「直線ルート」は南アルプスにトンネルを掘り、諏訪から伊那谷を抜ける「Bルート」を短縮するもので、JR東海下伊那郡大鹿村で地質調査を進めています。

知事は「事態はそれほど差し迫っていない」という認識を示した上で、「当事者としていずれ関わることになれば我々のコンセンサスはBルートであり、Bルートで協力できると言おうと、手ぐすね引いて待っている」と語りました。

きょうは諏訪地方のリニア中央新幹線期成同盟会の総会も諏訪市で開かれ、Bルートでの建設を改めて決議し、県に対しBルート推進を働きかけるよう申し入れました。

JR東海はあさって国土交通省に対し、「Bルート」と「木曽谷ルート」に加え、「直線ルート」でもリニアの建設が可能とする調査結果を報告する予定です。


リニア中央新幹線というのは、東海道新幹線のバイパスとなり、国土軸となるもので、いわば「国益」にかかわるものです。

それを長野県は地域振興という「県益」にしようとしているとしか思えません。

Bルートは、現在の中央道と一致し、スピードの点から考えると、大きく機能を削がれてしまうのは目に見えています。

リニアの機能を存分に生かすには、曲線のルートよりは直線ルートの方がいいのは、いうまでもありません。

その点をJR東海は思い切って主張してほしいものです。